top of page
執筆者の写真yoko kobayashi

自分にお疲れさま。

窓を開けるとカーテンが気持ち良さそうに風に揺れた。

いつものように下方からは、車が走る音、子供の泣き声、自動販売機に

飲み物を補充する音、自転車の急ブレーキの音.....などが聞こえてくる。



平成4年6月、父が天国に召されてから29年という歳月が経とうとしている。

出棺の日、生まれて初めてウグイスの鳴き声を聞いた。

思わず私は「これ何が鳴いてるの?」

妹が「もしかしてウグイスかも。ホーホケキョって鳴いてる」



告別式を終え、東京に戻る飛行機内で、CAさんが飲み物とお菓子を運んできた。

「お父さんありがとう。」と焼き印がしてあるクッキー。

涙で文字も滲んだっけなぁ。


ウグイスの鳴き声を聞くのも、お父さんありがとうのお菓子を見るのも、

きっとその時一度っきりのことなんだろうな。


6月になるとほんの少しこんなことを思い出したりする。

癌の手術入院をしたのも6月だった。病院の中庭に出ると、

どんよりした雲と湿った空気を感じ、あぁもう梅雨いりしたんだなぁって思ったっけ。


私にとって何となくどんよりした心を引き寄せる月、なのかなぁとも思う。


毎年6月には、自分に「お疲れさま」






閲覧数:12回0件のコメント

最新記事

すべて表示

生きる

旅の途中

Comments


bottom of page