一年数か月ぶりのThe Third Tribeステージは、2セットがあっと言う間に過ぎていきました。guest石井智大さんのバイオリンに、小林ピアノ池長ドラムス、三つのトライアングルが違和感なくシンクロして、グループのサウンドに厚みが増し、より現代的な世界観になりました。
5/26(fri.)に再びZIMAGINEにてこの3人での再演が決定しました。
どうぞこの貴重なLIVEをお聞き逃しのないように♡
この日ご来場下さった森下治生氏のライブレポをご紹介させていただきます。
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【The Third Tribe】at Zimagine 青山 2023.1.27
小林洋子(Pf)、池長一美(Dr)、+Guest 石井智大(Vln)
前回、Tone Momentum での洋子さん、Quadrangle での池長さんと智大さんの清澄な音の余波が私の頭の中にまだ残存していて、この二つのウェーブが合体し、今夜はそれに引き寄せられるように、青山にやってきた。このメンバーでこのライブは良いに決まっている。確信があった。
始まりは、洋子さんのできたばかりの2曲。このライブのために書き下ろされたという、"デジャヴ" と"Currents" 。 "デジャヴ"は、洋子さんの美しい左手のアルペジオから静かに……。智大さんの弦のささやきと被っていって、智大さん、美しすぎるメロディーライン。洋子さんのピアノの重厚さと艶やかさ、この音色は好きだ!
洋子さんのピアノは不思議な音で、他では聴いたことがない、何かWonderland に惹き込まれてしまうような気がする。"Currents"は素晴らしく美しい曲。曲名の通り、音がたゆたい、流れていく。
智大さんの"ディオゲネス"に続いて、池長さんの"Returning"。6年間のアメリカ留学から帰った故郷での温かさを思い、帰りの汽車の中で作ったという、ノスタルジックな曲。
1st. 最後は智大さんの名曲、"Prophet"。Vln とドラムの激しいアレンジのイントロから、テーマに入る。洋子さんのピアノの音が加わると、水が沁みだすように世界が拡がっていく。ピアノソロが素晴らしい。智大さんも聴き入っている。
2nd.も、洋子さんの、パリッシュさんという人の絵の、何気ない普通の青色を曲にしたという "パリッシュブルー" から始まり、ちょっと浮遊感のある美しい"Flowing Air"。
続いてドラムのインプロから始まる、池長さんの"Rain"。池長さんのドラムの音も、繊細で、時間の切り取り方が独特であり、ほかの人では聴いたことのない美しい(ドラムの人には珍しい表現かもしれないが)演奏だ。
智大さんのVlnはのびやかで、聴くたびに音色が深まっていっている感じがする。続いて智大さんの"Troubled Waltz"。 池長さん「何かトラブったんですか?」 智大さん「いや、ちょっと作曲でトラブって……。8小節くらいで曲が作れなくなって……」 というちょっと面白い曲。智大さんの曲にはみなそれぞれ独特の色がある。
そして最後は池長さんの、"Daily Life Of Native Indians"。30年程前に、アメリカで作ったという曲。池長さんはNativeIndianの研究もしていたらしい。彼らが、朝起き、朝餉の時間、そして命がけの狩りにと出かけ、夕方の休息、そして夜を迎える、そんな光景が目の前に浮かんでくる、池長さんらしい叙事詩的な曲だ。
enc.は洋子さんの "Play Ground"。まさに子供たちが飛び跳ねて遊んでいるような躍動感を感じる。
オリジナルばかりの11曲。洋子さんと池長さんのDuoに、ゲストとして智大さんが加わったということであったが、まるでレギュラーバンドのような、バンドとしての一体化した光景を見せてくれた。楽しく美しく、どこか別の次元の世界へと誘ってくれるような、かれらの世界観を感じさせる創造的な演奏だった。
実は今夜は近くで智大さんのお父さんが安田芙充央さんとデュオをやっていて、そちらも気になったのだが、何か見えない力に引かれてこちらに来てしまった。
でも、このお三方が創り出す世界、それぞれの独自の世界が感じ取れ、とても素晴らしい経験になった。この寒波に覆われた東京の夜、青山Zimagineの地下の部屋で、久しぶりに子供のころの夢の世界に遊んだような気がした。
(森下治生)
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2023.01.27南青山ZIMAGINE演奏曲目
The Third Tribe Trio Trial
小林洋子pf 池長一美ds guest 石井智大vn
1st.stage
deja vu (Yoko Kobayashi)
Currents (Yoko Kobayashi)
returning (Kazumi Ikenaga)
Diogenes (Tomohiro Ishii)
Prophet (Tomohiro Ishii)
2nd.stage
Parrish Blue (Yoko Kobayashi)
Flowing Air (Yoko Kobayashi)
Rain ver.7 (Kazumi Ikenaga)
Troubled Waltz (Tomohiro Ishii)
Daily Life of Native Indians ver.2 (Kazumi Ikenaga)
encore : Playground (Yoko Kobayashi)
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