昨夜、下北沢Apolloにご来場ありがとうございました。
3回目のギグでしたが、とても実のあるものになったと思います。
スローペースになるかと思いますが、未来のOEN Org.を楽しみに進んでいきたいとおもっています。
昨夜お越しいただいたjazz tokyo 「Live after Live」にて記事を掲載されています小野健彦氏のライブレポをご紹介させていただきます。このレポは9/3にアップされるとのことでしたが、一足先のご紹介となります。
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【私の2023LIVE.vol.45】 2年振り2度目の訪問となる下北沢Apolloにて、小林洋子氏(P)率いるオーソドックスな編成のピアノトリオ:OEN Org.を初めて聴いた。
小美濃悠太(cb )秋元修(DS) 創造のマグマ噴き出しの昂まりを見せて、最早6種のユニットを同時主宰する脅威的な活躍振りを見せている洋子さんであるが、中でも今春に始動し今宵が僅か3回目のギグを迎えたこのユニットは、恐らく演者自身にとっても未知の可能性を大きく秘めたトリオだけに、これまで折に触れて洋子さんの深化の道程に接して来た者のひとりとしては大きな期待を胸にその幕開けを待った次第。
果たして、 隆盛するSNS上での演者自身の前口上にて バンマス曰く、「このTRIOは、言葉で表現しがたく、おそらく、「妙ーーーな」雰囲気を醸し出すとしか言えません。」と評した協働体は、その全てをメンバーのオリジナル曲(小林作6曲+小美濃・秋元作各2曲)を題に、聴き慣れたピアノトリオのサウンドとは全く異質の構造で活きた音を如何にも満足げに紡いで行った。
三者の音創りに身を委ねていて先ず印象に残ったのは、三者の間から立ち上がる音が持つ寡黙さだった。
それはいわば余白の取り方の妙とでも言えるものであり、そこでは、示唆に富んだバラードから洋子さんの十指がダイナミックに鍵盤の上を疾走したドラマティックかつハードドライヴィングな楽曲に至るまで、緩急のいかなる局面においてもその音数の別なく、決して性急になることなく冗舌さを一切拝したところから生じる緊張感が際立って冴えながら音場を貫いた点はなんとも噛み応えのあるものだった。
そうして更に印象的だったのは各々のポジショニングの妙だ。
それはスピードと重心の両面で聴いてとれたが、前者について言えば、トリオは終始各自が同一のテンポに支配されることなく各々が独自のタイム感で音を連ねる中でいつしか絶妙な同期が生まれて行く感覚であり、
後者は、各々がサウンドの層の高低を自由に行き来することで音像に自由な広がりと奥行きを生み出して行く感覚であった。
前述のバンマスの前口上に踊った「妙---な」雰囲気だったかはさておき、今宵の音創りはありきたりのピアノトリオが指向する建付けとは明らかに異質な細部に迄工夫を凝らした意匠を感じさせるものであったことは確かだ。
到底一筋縄では行かない、其々が互いの間合いを巧みに推しはかりながらにじり寄って行く感覚とでもいおうか、そのニュアンスが生み出したムードが極めてスリリングだった。
洋子さんは過日、このユニットをして「私が才能ある若手から煽られるトリオ」とも語っていたと記憶しているが、どっこい、煽られる仕掛けを巧妙に仕込みながら自らを追い込んで行っているようにさへ私には感じられた。
今宵のステージに接して今は、氏曰くの「ヒヨコトリオ」において、洋子さんの名伯楽振りが遺憾なく発揮されて更なる深化を遂げられることを期待して止まない。そんな前向きな希望を感じさせてくれたイイ感じのピアノトリオだったと思う。
(小野健彦)
............................................... 2023.08.10 下北沢Apollo 演奏曲目
OEN Org.
小林洋子pf 小美濃悠太cb 秋元修ds
1st.stage
Turn Circle (Yoko Kobayashi )
キョーレオピンオーヴァドライヴ(Shu Akimoto)
凪 (Yoko Kobayashi )
Sky/Fall (Yuta Omino)
Jack In The Box (Yoko Kobayashi)
2nd.stage
The Scenery (Yoko Kobayashi)
SENBURI (Shu Akimoto)
Etude (Yuta Omino)
Kingfisher's Perspective(Yoko Kobayashi)
TEMPEST (Yoko Kobayashi)
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