風薫る五月の頃。 そこには「大きな風」と「小さな風」が存在します。
「大きな風」は今日も快調に走りながら、空から下方に広がる大自然を見下ろしていました。
穏やかな太陽の恵みに季節を感じ、日々の生き物たちの暮らしや出来事の中で、ちょっとした変化にも気づく、 可愛らしい花を見つければ喜びをかみしめ、弱った小さな虫たちを見つければ細やかな気遣いのできる何故か心に傷を持った風でした。 それ故に、「大きな風」は生き物たちの心の痛みも敏感に感じ、共感できる、そんな風でした。 曲を書いていて、音符で表現しているのは「小さな風」=薫風だけでしたが、譜面には書いていない私のイメージする「大きな風」の役を、池長氏のドラムに託しました。
新幹線が走り去るような突風を演じてくださいと.....
ただそれだけをお願いしたのですが、実際にはそれ以上のこと(私が思う大きな風の心の内?までも)を見事に表現していただき、CDの2曲目に収録されているこの「風薫る」という曲は、気宇壮大な楽曲となりました。
“今日も大きな風は突風となって大地を走り抜ける。 凛々しく堂々と.....。 そして、「大きな風」が走り去った後には、静けさだけが薫っていた。”
ドラムソロ終わりのこの曲は、音が無くなった後も、音楽はしばらく続いています。
その無音の瞬間も音楽を感じていただければ幸いです。
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