過去にやりたくても出来なかったこと、諦めていたこと、それらを一つ一つ探して拾っていったら、気づけば6つのUNITが現実のものとなっていた。
当たり前のことではないから、きっと油断をすると(努力を怠ると)、吹けば飛ぶような儚いものなんだろなって思う。
この6つ目のUNIT、恐らくこれが最後のUNITとなるであろう「OEN Org.」は2023年4月22日、横濱エアジンから始動する。
このTRIOは、私が若き才能にあおられるバンド。
bassist小美濃悠太氏とは、日ごろお世話になっている共通のengineer五島昭彦氏を通じて、最初の共演が叶うこととなった。当初から、この小美濃氏とはどこかで以前に共演していたような気持ちだったのを今でも覚えている。
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(音は現在のエアジンの音ではありませんが、その当時の演奏DUOです。よろしかったらお聴きください。)
そして私の6枚目album「10フランの幸せ」のベーシストでもある。
幾度かの共演を重ねて、遂にこのライブレコーディングの日にある不思議な現象に出くわすことになる。guitarist中牟礼貞則さんを1980年代のパリ:サンジェルマン・デプレへ連れて行ってくれたのだけれど、小美濃氏本人はまだ生まれてない頃で、元号は昭和から平成に移るころか。
演奏中、目に映る中牟礼・小美濃両氏のバックの景色は、セーヌ川沿いだったかと思い返す。
中牟礼さんに対する畏敬の念と思いやりからなのだろう、私の目にはそんな風に映り、私もその旅に便乗させてもらった。
そしてdrummer秋元修氏は、共演したことはなかったけれど、実際に彼が参加するUNITを聴きにいったり、様々音源をたくさん聴かせてもらっていた。
その全てに、とても不思議な感覚なんだけれど、昭和の記憶に残るたくさんの情景がまるでシャッター音とともに連写のようにモノクロで現れる。そして何を思い出すということもないのに(でも昭和の何かなんだとはうっすらと感じるが)胸がキューンとしてくる。
秋元氏も平成生まれ。昭和を知らない彼が何故?
drummer秋元修といえば、細かく計算されたポリリズムの印象が強いかもしれないけれど、私にはそういったことよりも、とてもしなやかで美しい音楽を奏でるdrummerだと強く感じる。とにかくしなやかだ。そのしなやかさからなのか、昭和のその時を淡々と映し出すかのような不思議な音楽家なんだけれど、昭和だから音楽が古いとかそういったことではない。
両氏共に今を生きる素晴らしい音楽家、この不思議現象は全く持って謎だ。
そんなお二人とのピアノトリオ、私の中では不思議感覚いっぱいの「OEN Org.」
時間軸がおかしくなったり、錯覚を起こしたり、、、一言でいえばヤバいTRIOなのかもしれない笑
OENとは、NEOとPALEOが頭の中でぐちゃぐちゃになる不思議現象から、ただ単にNEOを後ろから綴りOENとなり、UNIT 名「OEN Org.」(オーエンオルグ)とする。
王道のピアノトリオを組んでいたのは、実は2002年頃までで、およそ20年間組んでいない。考えに考え、今だったら出来るかもと、2022年9月に始動したSagittariusと2023年4月に始動するこの「OEN Org.」、同じピアノトリオでも全く違う印象を持たれると思う。
全く違うけれど、どちらも今私が発信したい音楽には違いない。
ここ数年間、開高健の「悠々として急げ」をモットーに進んできたけれど、歳を重ねれば重ねるほど体力も衰える、技術も低下してくる、それは仕方のないこと。
だけれど、以前から長い間これだけは失いたくないと思っていたこと、
それは「ハンマーがピアノ線をポーンと打つ、生き生きとした瑞々しい音」
これは音楽に対して心が瑞々しくなければ維持できないものだと思っている。
いくつになっても、瑞々しさをモットーとしていたい、そう思う。
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