お二人のライブレポのご紹介です。私の音楽も個性的とよく言われますが、こうやってライブの感想を書いていただく方々もそれぞれ個性があり、いつも楽しくしみじみと拝読させていただいています。
1.西野隆司さんのレポ
今宵(2024/1/19)はここです。横浜馬車道の老舗名店へ初登場のピアノトリオを聴きに
【The DREI】
小林洋子 / piano
高橋 将 / electric bass
つの犬 / drums
DREIとはドイツ語で「3」という意味で、つまりピアノトリオということになりますが、洋子さんが生み出す数々の難曲に「奴隷」のように奉公し演奏するというダブルミーニングなのかなーと勝手に妄想していました。
昨年8月に都内某店で誕生した「The DREI」。エアジンは初見参、個人的にも初鑑賞です。洋子さんとつの犬さんは「Team Tucks」、高橋さんとはデュオで活動しているので気心の知れた仲とも言えますが、トリオとなるとまた数段ギアが上がった印象です。
セットリスト的には全曲洋子さんのオリジナルで、しかも新曲が2曲投入されるという意欲的な内容に。
洋子さんと言えばジャズを基盤に、現代音楽やロック、民族音楽などさまざまな要素を含んだ類例を見ない独創的なオリジナルが特徴的。本日の個人的ハイライトは初めて聴いた「The Scenery」。
目眩く変拍子、幾重にもつながる転調、目紛しいテンポチェンジ、トドメに複雑極まる曲構成、そしてプログレ的とも言えるアップテンポなリフと、個人的な音楽的大好物がてんこ盛り状態の激ツボ曲。
メンバーを評して洋子さんは「将くんは品性ある音楽やんちゃ、つの犬さんは繊細な音楽やんちゃ」と言ってましたが、少なくともこの曲で最も音楽やんちゃだったのは、洋子さん自身だったに違いありません。もちろん気品あふれる音楽やんちゃです本編ラスト「Jack in the box」も相変わらず男前な疾走感でめっちゃ格好良かったです
(セットリストは洋子さんにご協力いただきました。ありがとうございます!)
1st /
翔
Beethoven walking in the countryside (洋子さん十八番の夢ネタ)☆
雨夜の月
Kingfisher’s Perspective
Flash Forward
2nd /
Heavenly Blue
雨間(あまあい)
The Scenery
時雨傘☆
Jack in the box
ENC. / Peer of bird’s tail
☆新曲
2. 綾部豊樹さんのライブレポ
◎The Drei
小林洋子・高橋将・角田健
@横濱エアジン
2024年1月19日(金)リアルライブ観戦記
The Drei / 坐 ドライ(敬称略)
小林洋子(pf)
高橋将(eb)
角田健(ds)
小林洋子さんのリアルライブを横濱エアジンで初観戦。
この日はドイツ語で3を表すピアノトリオ「The Drei」。
つの犬さん、高橋将さんの音楽的個性をバッチリ引き出す洋子さんのバリエーションに飛んだオリジナルソングスの数々でした。
一曲目は30年程前に作った「翔」。
1974オールドフェンダージャズベースでぶっとい音の存在感あふれるフレージングを繰り出す高橋将さんとカラフルなドラミングでメロディの隙間を巧みに埋めてゆくつの犬さんとの絶妙なコンビネーション。
洋子さんのしっとりとしたピアノのフレーズが広がり空間を包み込みます。
個人的に久々のピアノトリオ観戦ということで楽しみにしていたがかっこいいだろうという予感は的中です。
二曲目は初公開の「Beethoven walking in the countryside」。
ベートーヴェンが田園を散歩しているドキュメンタリードラマの仮想サントラのよう。
続く「雨夜の月」は非線形のリフを変化させつつ遠近感のあるかっこいいアンサンブル。
オルタネートピッキングのニュアンス感じるエッジの効いたピアノフレーズがとても印象的でかっこいい。
続いてカワセミの視点テーマにした「Kingfisher's Perspective」。
吸い込まれそうな翡翠の深緑の色合いの美メロが素敵です。
次で第1部のラスト「Flash Foward」。振り切った透明感でいい感じで締めくくりとなりました。
第2部は「Heavenly Blue」でスタート。
並走するベースソロのふくよかさがさりげないアクセント。清らかなフレーズに艶やかな光を感じる美バラードです。
次は静かにドラマチックな「雨間(あまあい)」。
続いて「The Scenery」。
ルート66を走るイメージで!と始まったが、直線的な疾走感ではない矩形かつ鋭角的リフでガツンガツンと決めが入るところが楽し過ぎなナンバー。続編はどうなるのか興味深々です。
個性的ナンバーが次から次に登場します。
次は雨シリーズの三曲目の新曲「時雨傘」。
ピアノのメロディは粒の大きい南国に降る暖かな通り雨。青の晴れと灰色の雲間が混ざりあうように変化するグラデーションのイメージ。懐かしい情景が浮かぶとってもいい曲です。
そして次の曲で最後「Jack in the box 」。
ネジが外れたBlackdog(Led Zeppelin)のような特徴的なイントロで弾ける曲。
その後の爽やかな疾走感ある展開との落差がとても楽しい。
ラストはイントロの逆回転イメージを繰り返し着地が決まる。停止線ちょっとオーバーするところも遊び心あっていい感じです。
アンコールも初公開の「Peer of bind's tail」。
意味ありげなタイトルだが、ピアノトリオを示しているとのこと。洋子さん真面目に話すところが面白い。
北欧の針葉樹林に舞うダイヤモンドダストの風景をイメージする曲。哀愁のスパイスもいい感じで効いていて緩急と静動のダイナミクスが素晴らしいです。
いい曲たくさん、様々なバリエーションのリフが楽しいオリジナリティあふれるピアノトリオでした。
洋子さん、つの犬さん、高橋将さん、素敵な音楽ありがとうございました。
第1部
1.翔
2.Beethoven walking in the countryside
3.雨夜の月
4.Kingfisher's Perspective
5.Flash Foward
第2部
6.Heavenly Blue
7.雨間(あまあい)
8.The Scenery
9.時雨傘
10.Jack in the box
encore
11.Peer of bind's tail
(all composed by Yoko Kobayashi)
*配信アンコール映像
Peer of bind's tail
2024.1.21記
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