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pianist Yoko Kobayashi jazz 1st.albumLITTLE THINGS

​「LITTLE THINGS」original songs

2000年release

完売により2001年アケタズ・ディスクより再プレスされました。

小林 1st. album「LITTLE THINGS」に収録されていますオリジナル全10曲の曲解説、Episodeです。

​「LITTLE THINGS」は、20年の時を経て、ジャケットがリニューアルされ、2023年に再び発売されました。

​小林洋子pf 吉野弘志cb 堀越彰ds

表ジャケjpeg.jpg

このトリオは、1990年代半ば全てオリジナル曲でstage構成をし始めた最初のピアノ・トリオです。

2002年に活動を終えて20年余り、収録曲を演奏することはありませんでした。そして実はこのpiano,contrabass,drumsという王道のピアノ・トリオ編成を、2018年の自己の活動復帰の年までやることはありませんでした。それほどたくさんの思いが詰まったトリオだったんだと思います。

​そして、2023年末2024年始の再演により、封印されていた曲たちは息を吹き返しました。

 

2000年「LITTLE THINGS」を20年ぶりに聴いてのbassist吉野弘志氏の言葉です。

「洋子さん、このアルバムは凄いよ!

ドラムスが堀越君という組み合わせの妙もあるけど、

ジャズの枠を越えたいろんなジャンルのミュージシャンから関心を持たれる要素が肉体化された形で表現されてる!しかもピアノトリオでだよ!!日本のみならず世界中で受け入れられる可能性があると思います」

(吉野弘志)

​​

 

1. オウムのおうむ返し(1994年)

ピアノの練習中、電線に止まったたくさんの色とりどりのオウムたち、

何やらみんなで話し始めた光景がふと脳裏に浮かび出来た曲。

このアルバムのレコ発を新宿ピットインでやった際、1995年にはオウム真理教地下鉄サリン事件が起きていたので、MCで曲タイトルをお知らせする度、一瞬会場が固まるのを感じた記憶があります。とんだとばっちりです(笑)

2. Hard Worker

ある日、働き蟻さん達がパンくずのようなものをせっせと運んでいました。

自分たちの身体より断然大きなパンくずです。

真夏の暑い日、働き者だなぁ。

一歩下がって二歩進む「大漁!ワッショイ!ワッショイ!」の3拍子のリズムがベースとなって

出来た曲です。

一生懸命働く世のお父さんたちにもエールを送るつもりで書いた曲でもあります。

3. Love Song

らしくないタイトルですが、友人たちや家族、動物たちへの感謝の曲。

中央線JAZZ誌に「小林洋子というピアニストは、聴く人を感動させようなどとはこれっぽっちも思っていない。それが、逆にいいのだ。」と評されましたが、ほんと、​自分でも​当時の演奏を聴くと「花より団子」って思います。

今だったらもっとこんな風に弾きたいとイメージは広がります。

4. BO・RA・HA・TA (ボラれたハタちゃん)

お正月に友人夫婦宅にお邪魔し、そこに居合わせたハタちゃん。

そのハタちゃんが新宿でボラれたって話をし始めました。途中からその話の内容はどうでもよくなり、

頭の中でほぼ曲が出来上がっていました。「話、聞いてないの?」って顰蹙かったのも当然のこと😅。

レコ発の時、ハタちゃんも来てくれたんだけど、今ハタちゃん、どうしてるんだろう?

5. Rambler

オリジナル曲の中には、数人での会話を聞いていて出来たものが数曲ありますが、そんな中の一曲。

たわいもない話をする人。

(まだアルバム未収録のHousewives’ gossip session 主婦の井戸端会議もその類の曲です)

6. At the park

遊歩道を歩いていると、人だかりが出来ていました。何だろうって皆が指さしている方を見ると、

何と木のてっぺんに大きな鳥が止まっているではありませんか!

私も初めて見る鳥だ。

私の前にいる男の子が「ねぇパパ!あれ何て鳥?」

お父さん「ツルだよ!」男の子「へ~、羽がきれいだねぇ!」

私は「わぁ~あれがツルなんだぁ」と感激し、美しいツルが東京渋谷区内の遊歩道の木の上で羽休めをしていた?!その感動を家に戻って曲にしました。

レコ発の日も、この曲のEpisodeを伝え心地よく演奏しました。

しかしながら、その前から「それサギじゃないですか~?」

「ツルは単体では行動しないんじゃ?」なんていう声を聞いていたのですが、私の中ではツルなんです。

ツルで良かったんです。ツルだと思って曲作ったんです。

ところがオーディエンスのお一人が、わざわざLIVEに図鑑をご持参下さって、演奏後に「ツルはこれなんですけど、こんなでしたか?」って。

.......(*_*)私が見たツルとは別物でした。吉野・堀越両氏には大うけしてました。

「ではやっぱりこっちじゃないですか?」って、見せられたページには私が実際に見た鳥が写っていました。

心の中で「分かりました。サギなんですね。でも勘違いしたままで良かったんですけどー」って。

でもその図鑑持参の方は、実は当時小学校の先生で、子供たちに間違ったことは教えられません。

ただただ職務を全うされた立派な方なのでした。

7. The Chicken's sad story(堀越君のにわとり)

堀越少年が縁日でもらってきたひよこ、そのひよこの悲しい結末。

堀越少年もさぞ悲しかったことでしょう。

レクイエムだと思って作った曲です。

会場に小さな子たちが来てくれてる時は、この曲のお話は内緒にしていました。

この曲中で、吉野さんに弓で悲しく「コケコッコー」と弾いて下さい、と厚かましいお願いしたのを覚えています。すみませーん🙇吉野さん。

8. Cheese泥棒

トム&ジェリーの大ファンでした。

セリフはほとんどなく、音楽とそれに合わせた動きだけでこんなに物語が成立することに

感動を隠せませんでした。

人間役は全て膝から下しか映りません。

子供の頃から音楽でいろんな情景を思いうかべたり想像力を養えたのは、

トム&ジェリーのお陰かもしれません。

 

トムがヨハンシュトラウスの愛猫という設定のお話。

ヨハンシュトラウスが演奏旅行に出かけている間の留守番を頼まれたトムは、

暇を持て余し、ピアノに向かって練習を始めます。

譜面台には「美しき青木ドナウ」

lesson 1 「ド」が一つ、ページをめくり

lesson 2 「ドド」ドが二つ、ページをめくり

lesson 3 「ドドミソ」、ページをめくり

lesson 4 位でもう「ドドミソソ~ タランタン、タランタン~~   」て、

急に見事に弾けちゃうんです。

(え~!こんなに簡単に弾けちゃうの?!って、この時、私ピアニストになりたいって思いました。)

それが途轍もない勘違いだったと気付くのに2~3年かかったような気がします。

そのトムが奏でる美しき青きドナウに惹きつけられるように、くるくるとターンしながら

ジェリーが穴から出てきます。

それで、例の追っかけっこドタバタ劇場が始まるのですが、そんなトム&ジェリーのファンの一人として、

大人になってから曲を書きました。それがこの「Cheese 泥棒」です。

9. Rodon's Theme

ベーシスト吉野さんに「魯鈍」といわれてできた曲。

何故、魯鈍と言われたかは長くなりますので省きますが、

ある日のLIVE休憩時間に、粗大ゴミ出し日に私がとった行動の話をした際、吉野さんが放った言葉です。

「魯鈍という言葉を知らなければ、そんなに傷つくこともなかったでしょうに。」(笑)

というお声もいただきましたが、私傷ついてなくて、逆に曲作っちゃってますから~、

大丈夫。

ここまでアルバムを久しぶりに聴いて、何だかアジアンチックな妙~な雰囲気を醸しだしていて、

THE 日本海!ってとこもありの、正にone and only 他にこんなアルバムないんじゃない?という

思いに浸るのでした。

これも吉野弘志、堀越彰両氏の音楽のお陰です。23年前のこの3人でしか出せない世界でした。

そして最後の曲

10. 霜枯れ時の

深々と冷える夜、お能のすり足が聞こえたような気がしました。

日本の伝統芸能を表現するような雰囲気には到底及びませんが、

最初のテーマの後とエンディングに出てくるdrums featureの部分は、

深々と冷える冬の夜をほんの少し表現できたかなと思っています。

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ここからは、レコーディングはしたものの、残念ながらアルバムには収められなかった曲や、

Episode色が強い曲について少しずつ記していきたいと思います。まずは一曲だけ。

​「だから言ったじゃない」

時は、まだ公立高校も土曜日の午前中の授業があった頃。

まだPASMOなどのICカードもない頃です。

土曜日の昼下がり、電車に乗るため駅までいくと、

授業が終わって家に帰るのであろう女子高生が自販機にずらっと列をなしていました。

(近くに有名な女子高があるのは知っていたけれど、その女子高生たちは定期券とか持ってなかったのかなぁ?

って今ふと思う)

まぁ、その一番後ろに列び、とても心地の良いお天気、女子高生たちのキャッキャッとう声は、

微かな風に乗って優しく響いていました。

何と言っても土曜の昼下がりです。

私は、そのキャッキャッというBGMの余りの心地よさに、得意の考え事に耽っていました。

列んでから5分位は経っただろうか、私の番が回ってきて我に返り、コインを入れようとするのだけれど、入らない。

おかしいなぁと思っていたら、何と自分ちの鍵を差し込もうとしているではありませんか!

どのくらいの間カギをギコギコやっていたのか、それに気づいた時、もちろん後ろに列んでいるであろう

人達の方を振り返る勇気もなく、生まれて初めて、赤面ならぬ赤背?

(とでも言うべきもの)を経験したのでありました。

改めてお財布から小銭を出して切符を買うでもなく、そーっと何事もなかったかのように自宅方向に戻ったんだとさ。

その時、自分に言い聞かせる、「だから言ったじゃない」って。

私の心のほとぼりが冷めた頃、再び駅まで行って自販機で無事切符を購入。

電車に乗るころには曲の全体像が出来上がっていたように思う。

当時、私の身には駅改札関係の事件が多発しており、

今では、「外では考え事をしない」を心掛けております。


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