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LIVE REPORTご紹介

更新日:8月26日

昨日の古和靖章(G)小林洋子(P)@本八幡cooljojoにご来場下さったjazz tokyo LALの記事を担当されている小野健彦氏のライブレポをご紹介させていただきます。


【私の2025live.vol.37】


久方振りの訪問が叶った本八幡cool jojoにて、待望のDUOを聴いた。

 古和靖章(G)小林洋子(P)

葉月版LAL〈live after live〉のテーマのひとつに未知なる表現者との出逢いを設定した私にとって、かみむら泰一氏との"NetteNix"や渡辺隆雄氏等との"M&M”等を通じて積極的な表現活動を行っている古和さんはかねてよりかなり気になっていた存在であり、

その氏が大事故に見舞われ手術入院療養を経て約半年振りに、私にとってはお馴染みの洋子さんとの3度目の手合わせに臨まれるとの報を受け、おおいなる期待を胸に今日のマチネーライブの現場に駆けつけたというのがことの次第だった。


果たして、まるで今日のふたりの音創りの方向性を推し量るかのような古和さんの思索的なイントロが付された氏のオリジナル曲〈Where Are You Going?〉で開幕した今日のステージでは、

間に著名なジャズスタンダード2曲(Tモンク〈Panonica〉、Bエバンス〈Time Remembered〉)を織り込みながらも、アンコールを含めた他の8曲に其々のオリジナル曲を設るという意欲的なセットリストが採用されることとなったが、


そこでは、洋子さんについては、約2週間前に他所で聴く機会を得た際に受けた印象と同様に、強靭なタッチから繰り出した和音とパッセージのコンビネーションに抜群の冴えをみせる一方で、


今日が初対面となった古和さんについては、独特の歪みのある音色から繰り出した音の連なりから伝統的なジャズのイディオムを踏まえつつ、カントリーロック、プログレロック、デルタブルース、更にはECM風空気感のテイストまでもが香り立ち、この表現者の底知れぬ万華鏡的な懐の深さを感じさせられることとなった。


今日多く供されたおふたりのオリジナル曲に触れていると、そこでは充分に考え抜かれたと感じさせられるメロディ、リズム、ハーモニーがありつつも、一旦おふたりの手にかかり、相互に「仕掛け」合い始めるとそれらの境界線は緩やかに解体されて行く感覚に陥いること度々であった。


それは曲自身が時間の経過と共に曲であることの束縛から解き放たれて行ったとでも言い換えられようか。想像力の翼を拡げるきっかけとして機能して行ったオリジナル八品を軸に、付き過ぎず離れ過ぎずの適度な距離感の中に在ってこざっぱりとしていながらも劇的に昂めあったおふたりの交歓の所作の数々に触れ大いなるカタルシスを得た午後のひとときだった。


私には今この時点でこそ盤に落とし込むべき音だと強く感じることの出来た創造的なユニットとの稀有な出逢いの現場だったと言える。


  jazz tokyo LAL( Live after Live)小野健彦

 
 
 

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